はじめに
今回紹介するのは映画化もした「#真相をお話しします」で有名な結城真一郎が書いた共有された夢の世界が舞台のプロジェクト・インソムニアです。今までも結城真一郎さんの作品を読んでいて面白い世界観と伏線回収が好きだったことや好きな映画の「インセプション」に似てるなと思い、今作も読んでみました。長編ストーリでSFですが、伏線の回収やミステリー要素がある作品となっています。
今回は読了後の感想を簡単に述べたいと思います。
ストーリ
夢の世界を共有して自由に自分の考えた物や生物を生成できる「ユメトピア」に被験者が呼ばれて、90日間寝ているだけ生活を共有することになっています。そんななか、被験者の一人が死んだ状態で発見されて「1人目」と書かれた紙が出現します。それからもどんどん被験者たちが亡くなっていきます。
参加時は夢で死んでも死なないと説明されていましたが、なぜ死んだのか、なぜユメトピアで連続殺人を起こすのかその動機は?最後まで先が気になる展開で進んでいきます。
構成
夢の中で死んでも現実では死なないと説明されましたが、物語が進むにつれ限られた特殊な条件下なら殺すことが出来ると判明します。
ユメトピア内で殺せる条件
- 被害者がユメトピアを現実と錯覚した状態
- 自分が敵に明確な殺意を持たれた状態を認識して殺される
ですがこの二つとも困難です。
まずユメトピアにはここが夢の世界であると示す「胡蝶」が必ずいます。なので現実世界と誤認することが難しいです。殺意がもたれた状態も即死などでは殺せず、銃を10秒以上向けられるなど明確に「自分は死ぬかもしれない」と認識しないと殺すことが出来ない部分も達成が困難です。
さらに被験者の中では偶然日中に居眠りした短い時間で殺されたことが判明します。犯人はどうやってタイミングよく寝ていたのか?これらの謎がある状態で物語が進んでいきます。
読んでいて面白かったと感じる部分はいつでも被験者をユメトピアで殺せた犯人の「特殊な事情」とそこからくる「動機」がユメトピアの設定とマッチしていて、ただの非道な連続殺人ではなく切ないと犯人に対して感じてしまった部分です。
おわりに
夢の世界が舞台となった設定のミステリー、設定ならではの「どうやって殺したのか」と「なぜ殺したか」がうまく書かれた作品だと思います。殺すことが出来る設定が少し複雑ですが、直感的に理解できる範囲内かなと思います。
まとめると
- 夢の世界ならではの「動機」や「殺人事件」に興味がある人
- 今までの結城真一郎さんの伏線回収が好きな人
- インセプションのような夢の世界が舞台のSF作品が好きな人
これらの人には向いていると思います。
興味が湧いた人は是非読んでみてください。
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