最恐のどんでん返し!「向日葵の咲かない夏」の感想

はじめに

 今回紹介する向日葵の咲かない夏は道尾俊介さんの作品で人間の狂気が前面に出た作品となっています。自分はとてもはまった作品ですが、かなり人を選ぶ作品になっていると思います。驚愕の展開は「8億売れたどんでん返し・伏線がすごい」としてとてもふさわしいと感じました。ただ人によっては「は?」と肩透かしを食らって付いていけなくなるような作品になっているかもしれません。
 今回は読了後の感想について致命的なネタバレなしで話していきます。

ストーリ

 小学生のミチオは欠席した少年Sにプリントを届けに行くが、そこで首を吊った状態のS君を発見する。その後喋るクモが出てきて少年Sと名乗る。さらに自分は殺されたと主張する。小学生たちが犯人を捜していく展開となっています。ただそんな中犬猫が変死体として次々出てきたりと不気味な展開が続いていきます。主人公ミチオの家族関係も異質で妹思いであるがミチオを憎んでいる母親や家族同士の会派がとても不気味です。

構成

 読んでいてずっと感じていた感想は不気味で奇妙な感じです。主人公が見ている世界と自分が読んでいる世界が何かしら違うと思うくらいちょっとした違和感がどんどん出ていきます。ただ自分は明確にそれが終盤で語られるまで分からなかったです。いわゆる叙述トリックの作品です。個人的には叙述トリックの作品は10作品程見ていますがこの作品以外はいつも最後に肩透かしを食らったような感じの「は?」という印象しか湧かなかったです。ただこの作品だけは読了後に凄まじい狂気の作品だったなと圧巻されました。ですがやっぱり叙述トリックという部分とそれが登場人物たちの狂気で成り立っているという部分が人を選ぶ結果となってしまっています。トリックにおいて論理的な部分を重視している人にはあまり向いていない作品かもしれません。

おわりに

 小学生が主人公ということもあり、心理描写の文章が読みやすくさくさく読み進められる本でした。
 この作品の感想に関してはあまり内容についてどういった不気味さや違和感を感じたかを話してしまうと、読んだ人が違和感部分で感じる不気味さや不安定な気持ちが感じられなくなってしまうので今回の紹介部分ではあまり触れないようにしました。
(そんなものあまり感じたいと思う人もいないかもしれませんが(笑))
 ですが、そのなんとなく感じる違和感が物語終盤への狂気の世界観への驚愕、人間のサイコホラー部分の面白さを最大限活かすスパイスになっていると感じます。いろいろ述べましたが、たくさん読者が違和感を感じるくらい大量の伏線があり回収される作品となっており、間違いなく最恐のどんでん返しがある作品となっております。興味が湧いた人は狂気的な世界観で叙述トリックがある作品だと思って他はあまり調べずに読んだら最大限面白さを感じる作品だと思います。他の道尾俊介さんの作品でもあるような人の狂気やどんでん返しの部分が練りこまれた作品となっています。

 まとめると

  • 叙述トリックが好きな人
  • 人間のサイコホラーが好きな人
  • 道尾秀介の他作品にもあるどんでん返しや狂気の部分が好きな人

 これらの人には向いている作品だと思います。
興味が湧いた人は是非読んでみてください。

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