犯人推理ではなく犯人決定!「犯人選挙」の感想|深水黎一郎

はじめに

 犯人選挙は他作品のように犯人が誰かを推理するというより、犯人が誰かの選択肢を選ぶ感じです。

 深水黎一郎さんの作品なので、最後のトリック同様ですが「読者と作者の犯人を当てられるかの競争」というミステリーの概念で当たり前の一般認識を放棄するスタイルで面白いです。

内容

密室殺人

 8人で共同生活を送っていた大泰荘で殺人事件が起こります。
しかもドアの鍵がかかっており、窓は鍵がかかっていないが閉まっていた状況です。しかも4階なので普に通下に降りるのは厳しいです。

犯人は7つの選択肢から

 犯人は登場人物の中から選びます。
登場人物はそれぞれが違う将来の目標を目指す人たちで個性的です。
俳優志望、作家志望、美術家など様々です。登場人物ん掛け合いもギャグが多くフランクに読めます。主人公の心理描写もどこか明るくギャグっぽい言い方が多くて読みやすく親しみやすいです。

 まあそれでもそれぞれが犯人だった時の選択肢が用意されているんですけどね。
さらには自殺や外部犯だった時の選択肢もあります。

 そういった意味では共通部分を読み進めて犯人を特定するゲームではなく、それぞれが犯人だった時にどうやって犯行を行ったかを考えるのが本作の魅力となっています。

 真実はいつも一つ!ではないですね。そういった意味ではアドベンチャーゲームをやっている感じです。まあそれでも犯人の選択肢が7つもあることは他にはないと思います。

おわりに

 犯人を推理するのではなく、それぞれが犯人だった時にどうやって犯行に及んだかを推理するという本作。ミステリーの常識部分がないのは最後のトリック同様で面白いです。

興味が合でた人は是非読んでみてください。