読者が犯人?最後のトリック 感想|深水黎一郎

はじめに

 最後のトリック深水黎一郎さんが書いたミステリー小説です。
ミステリー小説といっても、他作品とは違い読者が犯人という普通にどう考えても不可能なトリックにチャレンジした内容です。
 これから読了後の感想を述べていきます。

内容

最後のトリックとは?

 ミステリーにおいて、長い歴史からある程度の意外性のあるトリックはすべて出されていき、何なら使い果たらされている感じです。ミステリー作品を多く読んでいるほど思ってしまうことですね。

トリックとして密室殺人・不可能犯罪・探偵役が犯人・語り手が犯人などが既に出てますよね。

 ですがいまだに出てないトリック、というか不可能すぎて誰もチャレンジしていない究極にして残ってしまったトリックが読者が犯人という最後のトリックです。

 登場人物ですらない読者が読み終わった後で「俺が犯人だな」と思わせるのは不可能だと感じてしまいます。

 しかも読者は当たり前ですが作者が考える登場人物とは違い様々な個性があります。読んだ人すべてが当てはまる様なトリックということでもあります。

「俺は犯人だ」と感じたか?

 確かに読了後に俺が犯人だなと感じました。今作はたくさんの登場人物が出てきて批判・評論家的な立場や刑事、超能力専門家が出てきてこの最後のトリックについて考えていきます。最後までどうやって自分を犯人にしてくれるんだ?という不思議な気持ちで読み進められます(笑)。

 ただこの最後のトリック=史上最大のトリックというわけではないので、期待のハードルが高すぎると肩透かしを食らったように感じます。あくまでも読者が犯人と思わせるのはどういったトリックかという気持ちで読む必要があります。

おわりに

 読者が犯人というキャッチコピーにひかれて手に取った本作。最後に残ったトリックということもあり、他作品で類似例があるわけはないというところは間違いなく安心して読められる作品です。

ぜひ読み進めてミステリーのトリックジャンルで残ってしまった空欄部分を埋めてみてください。