はじめに
今回紹介する小説は作者が警察官僚であり、一回は警察が主体の小説を読んでみたいと思いたまたま読んでみました。登場人物がほぼすべて警察内部の人で警察の文化や風習に重点が置かれ、警察官としての生きずらさや様々な闇について考えさせられる作品でした。今回は読後の感想を簡単に述べていきます。
ストーリ
交番内で女警が上官を射殺し、自殺した事案が発生。警務部の監察官室長を務める姫川が事件の真相を突き詰めていこうとするが、捜査を独占的に推し進めようとする者が現れたり、女警の遺書では上官のセクハラやパワハラなど書かれているが自殺するほどの感情が感じられない文章だったり、被害者と被疑者双方の関係者に聞き込みをしてもどちらも問題があるような人柄には見えなかったりと上官と女警のどちらに問題があるかわからない展開です。
構成
ほとんどの登場人物は警察で警察内部事情について書かれたものとなっています。ただ会話がほとんどで構成されていて大きな動きがある物語ではないです。ですが、キャリア内のいじめ、男社会が根強い中での女警の立場や勤務形態、強者が弱者を支配する悪しき風習、警察内権力争いなど、それらすべての歪な要因をはらんだ組織に【一発の弾丸による警察官による警察殺し】が与える衝撃が起こす物語を生々しく書いている話です。歪んだ組織で生きていくための静かな抗戦を感じる作品です。動きが少ない割に長めの文章ですが、会話口調であるため読みやすい話ではあります。
事件の真相も切ない終わり方でやるせない気持ちになります。
おわりに
民間人はあまり出てこず警察内部について、官僚から交番勤務、女性と男性の立場の違いなどが書かれていてそういった警察系の話が好きな人に向いた作品となっていると思います。
まとめると
- 警察もの小説が好きな人
- 組織のいびつな構造を生々しく書いた小説が好きな人
- 警察内なのに登場人物でかなり女性率が高めで性別差にも焦点が当たった小説が好きな人
これらの人には向いた小説となっていると思います。
興味が湧いた人は是非読んでみてください。
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