教師が生徒たちを殺害!「悪の教典」の感想|貴志祐介

はじめに

 今回紹介する小説は「悪の教典」です。サイコパスな教師が自分の利益のためなら手段を択ばないという考え方で自分の受け持つクラスの生徒を殺害する内容となっています。自分はドラマで「鍵のかかった部屋」や小説の「新世界より」でとても面白いと感じていて、同作者の貴志祐介さんが書いた他の作品を読んでみようと思い今作を読みました。
 簡単に読了後の感想を述べていきたいと思います。

ストーリ

 主人公の蓮実聖司が教師を務める高校は不良生徒やモンスターペアレント、集団カンニング、淫行教師など様々な問題を抱えているが、自分と利益のためなら手段を択ばない蓮実聖司は犯罪行為で対処していきます。幼少期から自分のためなら非道の手段をとってきた彼は自分のことを嗅ぎまわるような生徒も殺害し始めます。
 盤石な支配体制を築き上げた蓮実聖司ですが、文化祭準備の夜に些細なミスが連鎖したことで自身の殺害が隠蔽不可能な状態まで来てしまう。そこで彼のとった手段は口封じのため校内にいる生徒を統べて殺害することを決意する。

構成

 この本は上・下で分かれており、上では蓮実聖司がどういった手段をとって自分の意のままに学校を支配していくか、過去にどんな行いをしていたかが分かります。
 一例として彼が小学生だった時に独裁者のような横暴なふるまいをしていた教師が授業を受け持っていて目障りだと感じた彼はわざと怒らせるような言動をして、教師を自分のいる机に向かわせ平手打ちを誘導します。その時にわざと尖らせた鉛筆を防御の時にふと教師の手にあたったかのように傷を負わせ、問題化します。学校側は日常化していた教師の横暴さを問題視して目論見通り排除していきます。恐ろしい考え方ですね。ただの快楽を求めるサイコパスではなく、自分の利益のためなら犯罪行為もばれなければ行ってもいいという考え方です。

 下巻ではそんな彼が隠蔽するためには自分の受け持つ生徒を全員殺さなければならない段階まで来てしまいます。彼が猟銃を用いて今まで紹介してきた生徒を一人一人虐殺していく狂気は今作ならではの魅力です。かなりぶっ飛んでますね。彼の計画が成功するのかどうかも気になる展開です。

おわりに

 非道な殺人鬼が主人公だからこそ、倒叙ミステリーでよくある犯人の心理描写が良く分かり、読者もハラハラドキドキする展開が味わえる内容となっています。そこが貴志祐介さんの丁寧な心理描写の書き方ととてもマッチしている感じでした。

まとめると

  • 犯人が主人公ならではの心理描写
  • 状況がエスカレートし、教師が自分の受け持つ生徒を虐殺するクレイジーな展開

これらの要素がある内容です。
 興味の湧いた人は是非読んでみてください。
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