「六人の嘘つきな大学生」の感想|浅倉秋成

はじめに

 六人の嘘つきな大学生浅倉秋成の書いた小説です。就職活動を通して人の闇や希望をしっかり描いている作品となっています。映画化もされましたね。
 今回は読了後の感想を語っていきます。

内容

構成

 この作品は就職試験と後日談的なそれからの2部で構成されます。

 就職試験は内容がとても非道で企業側の狡猾さを感じるものです。

最終試験まで進んだ六人、最初は全員協力型ですべての人たちが内定を得られる可能性があると言われていたのに実際の内容は

誰が内定者にふさわしいかグループディスカッションで六人の中から一人決めろということ。

調有望企業への就職を餌にした就職版デスゲーム的な内容で合格者一人を自分たちで決めさせるという鬼畜な内容です。

とりあえず、30分おきの投票の総数で決めるという大枠は出来ますが
その後で不審な封筒がそれぞれの人分の宛先でありました。

内容は自分以外の誰かの暗い秘密

イジメ、本当のバイト先、詐欺などです。

健全に誰がいいかを決めていく内容から、蹴落とし合いとなっていきます。

こんな封筒を用意したのは誰なのか・・・
という視点でも面白いです。

しかもただ就職試験の終了までで終わらないのが本作。
さらに後日談で書く登場人物を掘り下げることで、一部の表面的な内容で人の本質を推し量ろうとすることがいかに危険か分からせる内容となっています。

感想

 前半が終わった時と後半が終わった時で各登場人物に対する見方が大きくひっくり返る内容です。

 たった一つの視点で善悪を判断することがいかに恐ろしいか、勘違いによって引き起こされる表面的な評価では何の意味もないことを教えてくれる作品で読んでいて自分で勝手に人物像を刷り込んでいたことを思い知らされてしまいました。

この各々の嘘、就職活動時の就活生や採用側の建前の部分がうまく合致していた作品です。

おわりに

 前半と後半で大きく見方が変わり考えさせる内容となっています。
人の本質の見極め方に対しても考えさせてくれる作品です。

興味が湧いたら是非読んでみてください。