「難問の多い料理店」の感想

はじめに

 結城真一郎が作者の映画にもなった「#真相をお話しします」を読んでいて面白いと思ったので、同一作者の「難問の多い料理店」を読んでみたいと思い読んでみました。「#真相をお話しします」であった謎が分かり、物語の独特な枠組みや世界観が明らかになるという部分が同じように楽しめました。今回は読んだ感想等について話していきたいと思います。

ストーリ

 ビーバーイーツという配送サービスをしている人たちが、注文を受け取る際に中華、タイ、カレー、串カツなどそれぞれバラバラの専門店の注文なのに一つの雑居ビルで受け取ることになっているところから始まります。ゴーストレストランの手法をとっていてさらに、配達者にこのUSBをある場所に届けると1万円もらえるという怪しい話が持ち掛けられます。
 オーナーシェフが料理だけでなく、特定の料理を組み合わせて注文すると隠しコマンドとして謎を解決するために探偵業的なのもやっていて・・・
レストランなんだから、客の空きっ腹を満たしてやる。ただそれだけだ。
まじか・・・
このゴーストレストランのオーナーシェフが探偵、配送者が情報収集や宿題をこなして事件を解くという配送サービスに着目した構造は面白いと感じました。

構成

 6つの短編が合わさったものとなっています。

  • 一人暮らしの部屋に元カノの焼死体が見つかる。目撃証言では女性が自ら部屋に入っていて・・・
  • 交通事故で夫がなくなってしまう。発見された遺体は左手薬指・小指が切断されていて・・・
  • 空き巣をしようとしたがスマホの画面を見ると「嵌められた・・・」ー誰に嵌められたのか
  • 注文が毎回同じ宅配業者から来ている。ありえない確率、目的は・・・
  • 空き家に餃子や文房具などが何回も送られてくる。誰の意図?
  • 宅配業者を名乗るものが部屋に来てから住人が消失、これまで事件に絡んだ宅配業者はオーナーを疑っていて・・・

 こんな感じでどれも不可解な謎があり解決するだけでなく、それを解決するにあたって高い金銭を払ってまでこんな依頼を頼んだ人たちの思惑やオーナーがどうやって依頼を達成して客を満足させるか、配送サービスの仕組みを用いた謎もあったためとても面白かったです。それぞれの物語の引きから落ちまで飽きずに読める作品でもあります。

章ごとにオーナーの宿題や情報収集をする配送者も違います。

  • 大学生で家賃を払うため始めた者
  • 会社が倒産し家庭のため始めた夫
  • シングルマザー
  • オーナーシェフを調査する者
  • 売れないお笑い芸人

など、特徴的な人たちが語り手として出てきます。謎と自身の苦境にも向かい合い行動を起こしたりする話も多く、ミステリーでありがちなただ謎を解くだけで登場キャラの印象が薄いなんてことはなく、感情移入しやすい作品でした。

終わりに

 「#真相をお話しします」と同様にそれぞれの短編で独特な背景や登場人物が出てきて、どこか笑いあり、少しホラー的な雰囲気の中でちょっとした謎やそれをどう解いていくかの面白さがある作品だと思います。
 まとめると

  • 前作「#真相をお話しします」を面白いと感じた方
  • 短編内でそれそれ飽きない引きと落ちがある作品が好きな方

 これらの人にはお勧めです。
ぜひ興味が湧いたら読んでみてください。

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